「伊藤さんが… いや???! 」
私は全身の力が抜け頭の中が真っ白になり そのまま暫く動く事ができませんでした…
… プルプルル−ン♪ …
どれくらいの時間が流れたのか… 私は電話の音で正気を取り戻しました
「電話? 俊彦さんからだわ!」
私は急いでお風呂から上がりバスタオルを巻いただけの姿でリビングに走りました。
… カチャ! …
「あ、あなた! あのね…」
「もしもし、伊藤ですが! 」
「えっ! ……… 何ですか!」
「いえね! 係長が携帯電話を忘れて行ったものですから…」
「わかりました! 後で取りに伺いますから… 」
「いえね… もう携帯を持って係長の家の前にいるんですよ…」
「そうですか! ではポストに入れておいて下さい!」
「でも… こういった物は直接お渡ししないと…」
私はバスタオル姿のままだったので迷いましたが、ドアチェーンをしたままなら大丈夫だと思い…
「わかりました! 今ドアをあけます!」
私は電話を切り玄関に急ぐとドアの反対側に人影が見えました。 ドアチェーンを音がしない様に掛けドアを少し開けるとそこには伊藤さんが中を覗き込む様に立っていました。