真弓は二つ年下の高校二年生。色白で愛らしい顔立ちだった。母親に似て起伏のハッキリした体付き。
身近な異性としては涼子以上かも知れないのに、裕之には彼女はウブ過ぎた。
それに、真弓はお父さん子で、裕之はちょっとしたやっかみもあった。
夕飯…
キッチンではいつもと同じ団欒だった。
「明日は裕之学校なのか?」
「ああ。コンパがあるからちょっと遅くなるよ」
「そうか。買い物に付き合ってもらおうかと思ってたのにな。」
「明日は私もいないわよ」
孝行は涼子に驚いた顔をした。
「美容院予約してるって昨日言ったじゃないの。お父さんたら話聞いてないんだから。その後パートの飲み会だからね」
「ああ、それは聞いてたな。真弓は?またクラブか?」
「私は休みだよ。買い物付き合ってあげようか?」
「ああ、それはお兄ちゃんの方がいいんだ。知り合いの息子さんが大学合格したらしいんで…」
なんやかやと話をしているうちに、さっきのことは三人とも忘れてしまっていた…