泣きじゃくる真弓…
孝行は娘をしっかり包むように抱き締めた。
段々真弓が落ち着いてきた。
孝行は濡れた目や頬にキスし、涙を吸い取ってやる…
(びっくりしたか…?)
真弓は父親の胸の中で小さくうなづいた…
(お父さんが悪かった…ゴメンよ…)
サラサラの髪の毛を優しく丁寧に撫でてやる…
(お父さんのこと、嫌いになったか…)
鼻をすする真弓は何も答えない。
娘の機嫌を取るために少しドライブすることにした。それさえ断られたらどうしようかと恐る恐る聞いたが、真弓はうつむいたまま小さくウンと言ってくれた。
天気のいい日だった。
滅多にしない外食を済ませ、静かな山道を走るうちに、真弓は表情が和らぎ始めた。
広い川原を見つけて車を停めた。
せせらぐ水面に小石を投げる真弓…
ワンボックスカーのスライドドアを全開にして、孝行は後部座席から娘を見つめていた。
真弓は照れくさい笑顔を取り戻して、ほんの少し離れて隣に座った。
「男性恐怖症になったら…お父さんのせいだ…」
真弓はちょっと枯れたような微笑みを見せた。
(私…バージンじゃないの…だから、それは多分大丈夫…)