孝行は驚いた。
「そうなのか?」
真弓はバツが悪そうにうなづいた。
(こんなの…お父さんに話すなんて思わなかった。)
あんなことさえなければ、父親として真弓を責めるかも知れないが、今の孝行に言えた義理はない。
(その…彼氏…か?)
相手は何者だ、と問詰めることができない…
真弓はまたうなづいた…
(もう…その…)
(何よ…ハッキリ聞いて)
(ソイツとは…もう何度も?)
真弓には父親の心配は察することができていた。
(まだまだダヨ…。そんなに…エッチも好きじゃないし…)
孝行は少し安心した。
(そうか…)
(男の人って…どうしてあんなことするんだろう)
父親も含んだ話だ…
孝行はバツが悪い。
(許して…くれないよな…)
沈痛な父親に真弓は笑って見せた。
「どうしようかなっ」
わざと明るく振る舞う娘。
「でも…エッチは、素晴らしいものなんだよ…」
「…そうかな…」
「お前はまだ若いからわからなくても仕方ないよ…その上お父さんもあんなことしちゃったし……」
せせらぎがしばらく沈黙を埋めた。