翌朝…
食卓ではいつもの時間にキッチンで朝食をとる四人…
日曜日だと言うのに、あいにくの雨…
なぜかいつもより静かな食卓だった。
「真弓は友達と映画観に行くんでしょ?」
「うん…雨やだなぁ」
みんなが窓の外を見た。
「お父さん、駅まで送ってくれないかなあ」
いつものことだが、孝行はほんの少しどぎまぎした。
真弓の方がよほど落ち着いていた。
「お前達は今日は家にいるんだな」
涼子と裕之はそれぞれ返事をした。
食事が終わって、孝行は真弓を駅まで送る。
いつになく静かな二人…
(母さんに…言わなかったんだな)
(…言える訳…ないじゃん…)
真弓はそれでも明るく冗談を言う。
(おこづかい、ちょっと追加して。口止め料だよ)
孝行はこの笑顔に救われる。真弓は本気じゃないが、孝行は二千円ほど財布から抜いて渡してやった。
「じゃ、行って来ます」
「あまり遅くなるなよ」
はあい、と言いながら、孝行に小さく手を振る娘…
可愛い普通の女子高生だった。
孝行は罪の意識にさいなまれている…