そう言いながらも、まったくその通りではない。
あの時彼が…母親である自分にしたこと…
涼子は強烈な母性とそれとは少し違うものの両方を感じていた…
裕之はコタツの中から、家事にいそしむ母親を眺めている…
白いふくらはぎ…
柔らかい曲線に包まれた大人の女
裕之は朝っぱらだと言うのに、下半身が熱く脈打つのを感じていた…
涼子は孝行の様子を見に寝室へ上がってみた。
裕之との時間に何となく不安を抱いてはいないだろうか、とドアを開く。
だが、孝行は眠っていた。わざわざ起こすのもはばかられたので、涼子はそのままリビングに戻った。
裕之は珍しくまだリビングにいる。いつもなら部屋に籠っているくせに…
できるだけ母親を見ていたいと裕之は思っていた。
ぎこちない咳払いが何度か聞こえる。
雨は少し激しくなった…
「よく降るわね…真弓は大丈夫かしら…」
裕之は聞いていなかった。
真弓は映画館のはず。
会話に困ってただ言ってみただけだった。