二ヶ月後…妊娠検査キットに、陽性が出た。青ざめるせな。「陽性か…今から病院にいくぞ」稔はちょっと嬉しそうだった。(俺以外中だしはさせてない)ピタッと足を止める。(祐一郎…あいつだけ中だしを許したな。安全日とはいえわからない)せなは立ち止まり、考え込む稔の後ろ姿を見ていた。内線で、自分の研究所に電話をした。「せな、支度しろ」稔は上着をとり、せなの手をとり部屋から出てきた。外で待機していた祐一郎が一礼した。「丁度いい。お前もこい」祐一郎にはだいたいわかっていた。せなが妊娠したことを。一ヶ月前に知らされていた…多分祐一郎の子供だ。研究所へ着くとDNAサンプルを取られた。「念のためだ。気にしないでくれ」と稔は凍ったまなざしで祐一郎をみた。診断の結果せなは妊娠三ヶ月だった。稔は、とりあえず母親にその足で知らせに行った。年寄りの割に似合わない服をきて、罵声のキャバレーのようなメイクの母親は大喜びした。「稔ちゃん!よく頑張ったね!跡取りができたわ。これであの世に行けるわ」「何言ってるんだよ。ママ。孫を抱くまでダメだよ」