うどんをうまそうにすする真弓。
青白かった頬にほんのり赤みが戻ってきた…
「ね、どっか行くトコあったの?」
キラキラしたあどけない瞳に戸惑った…
「さっき夕方までって言ってたでしょ?」
「あ、ああ別に…余裕をもっただけさ。」
真弓は汁を最後まで飲み干した。
「お腹落ち着いたか?」
「うん」
「じゃ、いいか?」
二人は席を立った。
車に戻ると、雨は少し小降りになっていた。
真弓の濡れた髪の毛ももうすっかり乾いている。
孝行は心なしかソワソワしていた。時計を見たりため息をついたり…
何か落ち着かない父親…
しかも彼は何も喋らなかった。
真弓は、父親の横顔を見つめて、様子を伺っていた。その間に、車は違うコースに…
気付いた真弓
(あれ…?)
孝行は無言だった。
あたりを伺う…
着いたのは…
(……)
真弓は、ハラハラしながら父親をジッと見つめた…
彼は目を合わせたがらない。
(…)
真弓は重い気持ちのまま、父親に付いて車を降りた。
わからないまま歩きながらずっと見てるのに、孝行はまったく視線を返してくれない…
カチャ…