「お兄ちゃん、ご飯出来たからテーブル拭いてもらえる?」
「え〜」
「あっそ。じゃあご飯食べないんだね」
「はいはい」
今日は両親が親戚の不幸で泊まりがけで留守だった。
だから今夜は高校3年生の智宏と高校1年生の梨華の二人きりなのだが、梨華が夕飯作る事になった。
「あ、意外にうまい。」
「意外は余計だよ!あたしも何気に料理作れるんだから!」
怒った口調ではあるが、梨華はまんざらでもない顔を浮かべた。
「ま、料理くらい出来ないと、嫁の貰い手が見つかんねーもんな。お前の場合」
「お兄ちゃんは何の取り柄もないから、誰にもお嫁に来てくれないだろうね。」
「ばーか、俺結構モテるんだぞ!」
「いいよ、そんな作り話は」
「作り話じゃねーし」
お互いけなし合ってはいるが、元々仲がいい兄妹だったので、賑やかな食卓を過ごしていた。