真由美は必死で泳いだ。
だが、焦っているせいかパニクってしまった。
水中の中で彼女は苦しそうにもがいた。
彼女のマウスピースからは、泡がボコボコと吹き出てきた。
彼女は両手を口元にあてて、両脚をバタバタとさせていた。
「ンッ!ン〜〜ッ!」
黒いウェットスーツのために浮き出た、細くか弱い曲線を前後にクネクネと曲げてみたり、左右にねじってみたりするが、無意味であった。
マスクの向こうからは、さっきの輝いた目とは打って変わって、苦しそうな目をしていた。
その目からは、恐怖までもが映っていた。
彼女の頭の中は真っ白になっていた。
たった10秒程の出来事だったが、彼女にとっては、数十分に思えた。
やがて黒いウェットスーツを着た、束ね髪の美少女は激しくもがいた後、ぐったりと脱力した…。
彼女は島の砂浜に打ち上げられていた。
白い砂浜でマスクやマウスピースを着けたまま、大の字になって倒れていた。
彼女の身体を5人の少女が囲っている。
皆スクール水着(パイピング水着・白パイプ)を着ていて、無色のゴーグルをつけている。
脚には関節くらいまでの長さがある、美しく黒光りした厚底のブーツをはいていて、腕にも同じく黒光りした関節くらいまでの長さの長手袋をはめている。そして皆、プラスチック性の小型のアサルトライフルのような物を持っている。
しかもアサルトライフルにはプラスチックでできた銃剣が付いている。
皆真由美と同じくらいの歳だ。
「…死んでるの?」
「いや、生きてるわ。気を失っているだけみたい。」
「兵長、この人…どこの軍の人ですかね。」おぼこい顔つきの少女が尋ねた。
すると兵長と呼ばれた少女の隣りの少女が言った。
「きっと敵軍の隊員よ。捕らえて捕虜にしましょ。」
兵長が言った。
「まあ一応連れて帰りましょう。何か情報が聞けるかも知れないし…。」
真由美はスクール水着の少女達に運ばれていった…。