布団から顔を出した裕之は寝癖のついた髪の毛のままあくびした。
「今日は自主休講にする…」
「ダメよ、サボってばっかりなんだから。ほら、早くしなさい」
ズカズカ息子の部屋に入り、涼子は掛け布団をひんむいた。
「あ…」
裕之は全裸だった。
一瞬ひるんだ涼子…
「な、何か着なさい」
背を向けて涼子は半ば逃げるように部屋を出た。
キッチンで食器を片付けながら、彼女は一瞬目にした息子の全裸を思い出していた。
まだ朝っぱらなのに、胸の鼓動が収まるのに時間がかかりそうだった。
…思えば、先日の孝行との営みは刺激的だった。それまで涼子はあんな刺激的なセックスをしたことがなかった。
あの日以来、彼女は自分でも戸惑うぐらい淫らな気持ちになることがある…
…昨日の息子との出来事…
あんなことを自分がするなんて夢にも思わなかった。
忌まわしい…
忘れてしまいたいからゆうべは孝行とセックスした…
でも胸騒ぎを覚えるのは、孝行とのセックスより、息子との行為はさらに強い刺激だったから…
許されない禁忌…
一食だけ残った裕之の朝食。
食べさせなければ、と踵を返した所に彼は立っていた。