そのうち、自虐的に笑った。
「この家どうなってんのかしら」
「…」
「血…なのかな…」
暗に両親を恨むひとこと…
だが、孝行は何も言えない…
ため息をつくしかなかった。
「そう…かもな…」
父親も相当のショックだったろう。
自分のことは棚に上げて、目の前の父親が哀れになった。
「大丈夫…?」
孝行は力なく微笑んだ。
「バチがあたった。それだけだよ。」
(……可哀相……)
「可哀相じゃない…父さんもお前を…」
分かり切ったこと…
真弓は返事をしなかった。
孝行は背伸びをした。
「あ〜あ!」
沈んだ空気にうんざりしていたのは真弓も同じだった。
「真弓…」
彼女は父親に向き直った。
「全部…ぶっちゃけよう」
「え〜!」
「わかるだろ?父さんだって、罪の意識ぐらいある…」
「そんなぁ、私は嫌だよぅ」
確かに…真弓に手を出したのは自分の方だ。
「お前は悪くないもんな…そうだよな…」
(そうは言わないけど…)
兄と母の関係を忌まわしいと思った。
自分もそう思われるのが怖い…