[PR]
オススメ広告

少女・伊織 1

ひゅうま。 帰ってきたぜ!…待ってなかった…?そういうなよ  2009-03-23投稿
閲覧数[18529] 良い投票[5] 悪い投票[0]

三条伊織(いおり)はお嬢様学校で知られる「聖フィリス学園」で、際立った存在とは言えなかった。

しっとりとした黒髪、内側から輝くような白い肌…小さな顔を彩る端正な部品。
黒目がちな瞳は大きく、縁取られた睫毛はいつでも濡れているかのように艶やか。

まさに古風な美少女。欠点のない目映いばかりの日本人形…なのだが、きらびやかなお嬢様学校で目立つ要素に欠けていた

もしも共学だったら、彼女の群を抜いた美しさはたちまち取り巻きを作り
高校生とも思えぬ色気に圧倒されていたに違いない。

だが、まさにその事を恐れて父、三条陽介はこの規律の厳しい学園を選び入れたのだ。

そして伊織自身、男性に騒がれることは疎ましい事だった。
伊織にとって異性…男とは穢れた欲望の塊でしかなかった。

だからこの「女の園」に入れられた時は心から安堵したのだ。

女子高ではボーイッシュな少女に注目が集まる。
なかでも神埼清香(きよか)は飛び抜けて人気があった。

モデル張りのスタイルにキリッとつり上がった眼差し、凛として教師にさえ堂々と意見する…伊織も同じクラスになった時から密かに憧れていた。

そして、清香も儚い桜の花びらのような伊織を気にかけていたのだ。

「伊織、どうした?元気ないね」

放課後、ゆっくりと教科書をしまう伊織に清香は声をかけた。
伊織はパッと顔を上げ、ニッコリしてみせる。
「清香さん…なんでもないの。ただちょっと…疲れてるだけ」

清香は自分の短い髪を指先で払い、笑った。

「さん、はいらないって言ってるのに…まあ家の約束事だから癖になってるんだろうけど。学校では清香って呼んで」

伊織は頬が赤らむのを感じた。

(馬鹿な伊織。清香に変に思われるじゃない!)

「わかったわ…き、清香…」

「それでいい。で、本当はどうした?悩んでるんじゃない」

伊織は浮き上がった気持ちから一気に暗転していく気がした。

帰りたくない。
こうして清香とずっと一緒にいたい。

…もしも、清香が私の全てを知ったら…いいえ、それだけは駄目!

伏し目がちな伊織の、腰まで伸びた見事な黒髪に清香はいつのまにか櫛を当てていた。

教室には誰もいない。
初夏の日射しと風が空気を清めている。

「言いたくないならいいよ。でも伊織が帰らないならあたしもいる」

伊織の胸は張り裂けそうに痛んだ。

清香…。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ひゅうま。 帰ってきたぜ!…待ってなかった…?そういうなよ 」の官能小説

もっと見る

女子生徒の新着官能小説

もっと見る

[PR]
i-mobile
オススメ広告


▲ページトップ