伊織の部屋の前で躊躇する…そっとドアノブを握り回す…ドアは抵抗なく開き…武瑠は心臓が激しく脈動し震える手で閉めた。
眠り姫が、ベッドに横たわっていた。
静かに布団を剥ぎ、最高級のレースのネグリジェから覗いた白いふくらはぎを見下ろす。
伊織は処女だろうか?
ふいにそんな疑問が過る。処女とはもっとぎこちなく、こんなにもしなやかで色っぽいものではないはずだ…。
逸る気持ちを抑えつつ、ふわりとしたネグリジェを静かにたくしあげる。
驚くほど均整のとれた、ふたつの双丘が現れた。
薄紅の小さなさくらんぼのような乳首が息づいている
「なんとまあ…見事な」
真珠のような肌、手触りは吸い付くようで武瑠が今まで金を払って抱いてきた女などこれに比べれば者の数にも入らない。まさに、最上級だ。
三条家の跡取りに、ふさわしい人形。
美しい顔を歪めるのは惜しいが暴れられたらやっかいだ。なに、どうせ後でほどいてやる…その時には叫ぶに叫べない事情が出来ている筈だ。
万が一大声を出されても別棟にいる奴等に聞こえはしまい。
武瑠は手早く用意していたハンカチを口に捩じ込み、さらに手拭いで口をふさいだ。きっちりと縛り上げた頃には、目を見開き驚愕している伊織と目が合った。
「やあ伊織」
にやりと笑う武瑠の頬に、伊織の平手打ちが飛んだ。が、対して痛くはない。
寝起きでまだからだが覚醒していないようだ。
大人の玩具屋で今日買っておいた手錠を両手足にかけ、ベッドの支柱にかける。大の字に張り付けられた伊織は今や激しく抵抗するも後の祭りだ。
「うん、いい眺めだ」
んん、と呻く伊織にさらにそそられる。
伊織は完全にパニックになっていた。
(武瑠お義兄さまが?何故なの…)
時折いやらしい目で見つめる視線に気づかなかった訳ではない…がまさかこんな荒っぽい手段で…。
「伊織、今日はこの家は俺達二人だけだ。ちょいと楽しもうじゃないか…騒いだら…」
パシャっと機械音がしてフラッシュが炊かれる。
見れば乳房をさらした姿をデジカメに納められた。
(酷い!)
「騒がないね?」
頷くしかない伊織。
…と、口からハンカチが取り出され、伊織は激しく咳き込んだ。