私は馴染みのゴルフ練習場に行く。席はだいたい決まっている。
その日は近づくコンペのために珍しく集中して打ち込んでいた。
1番ホールまで想定して打ち終わる頃、私の後ろの打席でリズミカルなしかも的確に球を捕える打球音が聞こえてくる…。
休もうか
座席に座りスポーツドリンクを飲みながら、見るとは無しに後ろの客を見る。 アイアンを打っている。あの高さは‥七番か?いや八番?‥
う〜ん、スピンの効いたいい球だ!
が、残念だな、体格が…腰周りが細い。尻も小さい。も少し背丈があれば……つば広のサンバイザーを かぶり、サイズ大きめの黒のウエアーにベージュの綿パン。黙々と打つ。整った端正な鼻と口元が見える。…イケメンというやつだな…。それにしても…見事なフォームだ。突然である。「済みませんショートアイアン、見て下さい!」
突然、オクターブ高い声!…俺?…ワタシ??
サンバイザーを脱いで私に向かって頭を下げる。
おんな?女性?…化粧はしてないが確かに女性である。それも私好みのスレンダー美人だ。
一瞬の間があって…た‥
「たかみ?貴美さん?」
三年前のことである。
貴美は某国立医大病院に勤務する女医である。
私と貴美は同じ高校のゴルフ倶楽部の先輩後輩であった。貴美は元、人妻である。
離婚の原因を人に話す程軽薄ではない。が、こと Sexに関して満たされてなかったことは察しられた
私と貴美は今、勿論、肉体関係がある。
最初の関係を持ったいきさつはこうだ。
三年前の再開を期にして付き合いが始まった。
他のことは省略してことSexに関していえば
食事して酒も飲んだ勢いで私が貴美を誘惑したことがあった。
「私、ダメなの。‥不感症なの。‥どんなSexや愛撫をされても感じない。快感とか絶頂とか感じたこと、ない‥」と言う。
私は貴美を挑発した。
「貴美、私と勝負しないか?私とSexして感じるか感じないか、を賭けて」
「あは!おばかな挑戦」
三ヶ月ほど経った頃
「ドイツに行ってきます。‥‥‥‥先‥輩…何‥くれ‥ますか?」
時計を見ると午前2時。
「貴美、酔ってる?」
「先輩‥年の差は‥縮まらない‥けど互いに‥大人ですよ‥ね」
「Sexの勝負の賭のご褒美は何を頂けますか?」
酔ってはいない医者らしい声であった。 つづく