今東南アジア、中近東など政情不安や国家間紛争などで親を失った子供達が 270万人、犠牲者は常に善良な市民だ。
NPO諸団体では国境無き医師団などを派遣し人道支援を展開している。
これら親を失った孤児は放置すると将来、反国家、紛争継承軍隊予備軍に育っていく。……………
とにかく、日本人ひとりが月に 7,000円を拠出すればこれら孤児 17人が生きて行ける。70,000円で 170人を生き延びさせ得るのだ。健全な教育を受けて。…そして自動的に拠出者は彼等の里親となり
「日本の父母」となるのだ。勿論、日本に呼ぶ訳ではないが収容施設で彼等には父母として写真が渡され認識がされていく
月に一度は手紙が届く。
………日本を四ブロックに分けた内の一つを受け持って私はその事務局も務めている。当面、私のノルマは里親 5,000人を集めなければならない。
私が万引きを見逃した者全てが「万引き犯罪者」ではなく、担当ブロックを嬉々として飛び回るスタッフであり、月割りノルマ達成目標を確実にクリアしてくれている私の右腕だ。
彼女たちは私が面談をして家庭的経済状況を調べボランティアも辞さずこの運動に取り組めるかどうか、家庭からの応援協力が可能か、など全てを調査して選抜した。
これら万引きをした彼女らに共通していたことは
経済的に恵まれている。子供がいない、生き甲斐や生きてる存在感、孤独感、ときめき、感動、社会的奉仕観念などを失っていること、
私が女性に限定したのは家計、収入が減ることはこの運動が長続きしない最大の原因となると考えたからだ。そして将来この種国際間問題の解決には男は手を引き、女がイニシャチブを握る日が来ると考えたからだ。
第一、銃のトリガーを引く数は遥かに女が少ないそして決定的なことは突き詰めてみれば彼等子供を産んだのは女なのだ。
私は面談の中で情熱を持って話す。3時間。
万引きをしたことのへ懺悔、生まれかわろうとする決意、生き甲斐、やり甲斐を見つけたことを泣いて喜びながら取り組んでくれている。
勿論、藍子も例外ではなく話しをした。
罪と引き替えではない、強制的ではないことを告げて…藍子は、快諾してくれた。
ただ、藍子は
「遠い町で私を抱いて」と言った。
藍子に言わずに医師に会った。