私が美紀を拾ったのはひどい雨の午後だった。
私の愛車はトヨタ車である。どんな日もどこまで駆ってもどんなに飛ばしても文句は言わない。
…国道を飛ばしていた。
（豪雨の部類だな）時計を見る。午後の４時を指している。…もう少しで馴染みのコンビニが見えてくるはずだ。？…左車線に駐車灯が点滅して停車中の車、型式には見覚えがある。…（セルシオ仲間だ。グレードは最新！くそっ、色は黒かネイビーか？）雨具を着て、ゴルフ用の大きな傘をさして立つ男…こんな雨の日に、ご苦労さん！…思わず飛沫を掛けないようにスピードダウンで通り過ぎる…？…どんな男？…？ん？…女？じゃない？か？100メートル先でブレーキを踏む。……トラブル？男なら助けない。ゆっくりバック。…男だったら逃げ出すところまでバックする。髪が長い。女だ…バック。…雨具は着てるがスレンダー体型だ…バック。…身長の割に小顔だ…バック。…３０は過ぎてる、熟女だ「どうかされましたか？」イギリス映画のヒーローの気分だ。実は、私の膝から下はズボンがびしょ濡れで様になってない
「ええ、車が急に…」と女がいう。雨に電気系統をやられる車ではない。
「失礼！」と言って座席に座る。ガス欠を確かめる。燃料は少ないがＯＫだ。…イグニッションを捻る。ク､ク､ク､､ク…エンジンがかからない。いい女だ。助けたい！後部座席を見渡す。何もない。ゴルフバックが口を開けてあるだけ…少し待つように言って馴染みのコンビニまで飛ばして若い店員の彼を乗せて戻り、トランクからロープを取り出し、牽引準備を終えた。私の車を彼に運転させ、私は女の車のハンドルを握った。（同じ車種でもグレードが高いだけに乗り心地は私の愛車が遥かに劣る…くそっ…ムカつく）「取り敢えず、近くのコンビニの駐車場まで運びますね」
「済みませんね、雨の中を…ご迷惑おかけします」と意外に若い声でいう
牽引されて１Ｋ程ゆっくり走る間、女は申し訳ないと言って事情を、聞かぬことまで話をする。
「ゴルフ、されるんですか」と聞くと下手くそですが少し…。コンビニの駐車場に突っ込んで話す
話を聞く内にチョイ悪オヤジの心にイケナイ思いが頭をもたげたのである
（誰の精でずぶ濡れになった？一人でシャワー浴びれってか？馬鹿な！）
……………………………そして今、美紀がラブホテルでシャワーを付き合ってくれたばかりだ。
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