やがて美紀がシャワーを終えて出てくる筈だ。
連れ込んだ経過などもういい!ラブホテルで裸の女が目の前に…と誰かが怒鳴る!……待ってくれ!プロセスなしに私は勃起しないのだ!抱けないのだ!たたないのだ!私が叫ぶ。…理由はこうだ。…私は「人妻」しか抱かない。そしてモデル系のガリガリに痩せた長い足、ホルスタインのような病的な乳、叶姉妹の見事な体型のバランスをぶち壊す異常な胸などに一切性的関心はない。必要なものが必要ななだけあればいい。…ミロのヴィナスの乳がでかいか?モデル体型か?「青春の門」で見たあの太腿、愛の水中花を歌った網タイツあの松坂慶子は今?…そして何よりも「人妻」という言葉が、ライバルの持ち物、奪う、盗む、犯す、堕とす、誘う、密会、寝るなど次から次に淫靡な事を連想させるのだ。そして私のこれら獲物は出会い系サイトや風俗にはいない。街角やバーのカウンターにしかいない。「旦那以外の男」が人妻たちの階段を先ず一段、引き堕とすのだ。ここから私のSexは始まるのだ。「スポーツは結果。人生はプロセス」なのだ「お詫びに何かご馳走します」美紀が言い私が、「恥をかかせます?」これだけ交わしてレストランへ…嫌みなく上品に隔絶された奥のテーブル。会話を他に聞かせない程度に流れるジャズ。これでいい…(さあ、奥様、貴女の不満の全てを打ち明けて!私は一方的に、聞き役です。話しにくければワインでも…)と内心思いながら美紀に言った、「大変ですね。仕事も付き合いも。…女専務さんとしては…」「いえ、家に閉じこもるよりは楽しいです」「この不景気じゃ、ご商売上手くいくといいですね」「私は輸入する方ですから…でも社長は輸出もしますから大変」美紀は中国、東南アジアに直接仕入れに行くとのことだった。ゴルフに話しを向けると、向こうではワンゲーム2、3 千円で出来るため仕入れの度に腕を上げて今では夫とスクラッチだという……「あっ、私、泊だし、おビール、いいかしら?…一緒にどうですか?」という。「ここは日本ですよ、運転します。私は一人寂しく濡れた体にシャワーを浴びて、頂きます」と笑ってボーイを呼んだ、美紀は首をすくめて「ごめんなさい。あの〜、…お独りなんですか?」と聞く「ええ、独りです。時々もて余します」美紀は聞こえない振りをする。「雨の日なんか…」とかぶせる。美紀の顔が赤らむ。
美紀は二杯飲んだ。