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夜の特別診療室 (二)

涼太  2009-05-15投稿
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俺は二人の患者を前にして事務的に質問を続ける
ゾクッとするような和風美人と冴えない夫。……
「勃起しない」?勃起不全はセックスのうつ病と言われ、現在社会では珍しくない。99,9%心因により突然襲ってくる。
「で、最後のSexは?」 「えーっと」と妻の顔を見る…「確か…二ヶ月…半?…」とまた妻の顔を伺う。俺は段々不愉快になり意地悪な問診をする
「えっ、覚えていないですか?正確に!」「確か成人式のパーティーで飲んだ日…10日…」とまた横を伺う。「奥さんは?どうですか?」と聞くと、「ええ、一月十日が」 と顔を赤らめて答える。「解りました。で、その時は最後まで?つまり射精はしましたか?」(聡美は吹き出しているだろう)「ええ、その時はバッチリ…というか、射精しました」「奥さん?どうですか」 「ハイ。確かに…」と自分の掌を見ながら小さく答える。その後、何度挑戦してもダメなのだと涙目で言う。「子供が欲しいです」妻も言った……「それから以降、精神的に悩むようなことはありませんでしたか?思い当たりませんか?EDとか心配してご近所の医師に相談とかは?わざわざ東京から福岡までですよね今日は」「思いつくといえば…一度、親父と口喧嘩したことがあります」「原因は?無理にとはいいません」と言うと、…「私まだ区議でして、都議に出てから国政にと…親父はいきなり国政にと言うもんですから…それで…つい…」……などくだらない問診を続けた。EDを心配して病院に行くことも考えたが、国政出馬となると他陣営との情報合戦であり鵜の目鷹の目で情報屋が暗躍してスキャンダルや敵の弱点を売買する。少しの弱点も見せられない。従って近くの病院になど行けないと言う。で、親父の関係で可愛がって貰っている先生(ドンのこと)に相談してここに行けと言われたとも話した。……もう俺は乱暴に話しを切り出す。「二日入院は可能ですか?」
「長崎の女房の実家に里帰りを理由に今日は来ましたから。大丈夫です」夫が言うと妻も頷く「先生からも言われていますし…保険対象外荒療法です…治療代は高くつきますよ…構いませんか?合法か非合法かは主観の違いです。決めるのは患者です。ご無理は言いません!」…治療の方法と代金を口頭で説明し、二人が納得の上サインした契約書に目を通した。
「それでは、ご説明のとおり、明日の銀行営業時間内にこの口座に内金500万円を…」メモを渡した

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