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夜の特別診療室 (四)

涼太  2009-05-16投稿
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壁際の机上では聡美が超人的なスピードでキーボードを叩く…今までの問診経過は漏らさずパソコンに打ち込まれた筈だ。裁判所の書記官並に正確だ。抜かりない看護士長殿だ、誰も気付かないレコーダーも回ってる筈だ。…聡美が「センセ、休憩にしません?お茶入れます。奥様、コーヒー、紅茶どちらがお好みでいらっしゃいますか」。………………俺の話の内容が荒い内容であっただけに、息を吸うばかりで吐くことを忘れたように肩に力が篭っていた患者ふたり。…聡美の絶好のタイミングでのティータイムに緊張がほぐれ、肩を沈めて、ふぅぅと吐息「いかがです?治療は四段階。内容はご理解頂けましたね?」夫は額の汗を拭い、妻は顔を赤らめハンカチを弄んでいる。二人とも言葉は発せず、小さく頷くだけ。「正式には勃起不全と言いますが初期発見と同じ意味で早い処置が全快を早めます。遅れると慢性と言いますか、回復が…それに、方法よりも結果を出さないと東京の先生から私が叱られます。あっ、それと治療方法は先生にはくれぐれも内密にお願いします結果は約束致します
東京から何度もでは恐縮ですし、二日で終わる今考えられる最善策です。…これで私は席を外します。ご夫婦でよくご相談下さい。無理にとは言いません、よーく相談して下さい。隣に居ますのでいい時間にお知らせ下さい」いうと同時にドアが開き聡美が紅茶の香を運んで来た。俺は出た……20分が経過。ドアがノックされた。椅子に座り
「率直にお話し下さい」
と言うと、夫が、「…2、3お聞きしたいことが…」俺が頷くと「あのぅ、…男と女と言われましたが…」と妻の顔と俺の顔を交互に見ながら、「どのような方…でし」俺は皆まで言わせず「ご主人、私は治療と申しました。保険対象外とはいえ医師資格のない者が治療は行えない。男は私、女は看護士長が務めます。勃起不全は何らかの原因で海綿体の働きを司る神経が一時的マヒしているか、断絶してるかのどちらかです。筋肉などと違って神経は繋がったり再生することはありません。それを診るのは医者の仕事です」俺はピシリと言った。夫婦は正面から俺の顔を見る、夫はまた妻と俺を交互にみる。………「子宮にカンシを入れることもある。お尻に指も入れます。治すとはそういうことです。しかし、お見掛けの通り貧乏医者です。病室はホテルのスイートルームです。もう一度検討下さい」

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