美紀は自分への着信メールを読むと、ゆっくり私を見つめる。…(天下分け目の瞬間だ、人妻ナンパなんて成功率 0,5%。消費税と同率だ。外れて元々)…私は開き直って美紀の目を見る。タンクトップにグレーのスーツ。小顔作りで切れ長の目、ボテッとした唇がいい美紀は私を見つめた後メールを作成している。
?私に着信音【悪ぶっていても…悪ではない親切心見え見えのところは…キライじゃないわ】
?美紀に返信【美しき獲物を前にしたライオンがいる】
?美紀から返信【雨の午後に出会った見知らぬ男と女でも泊めてくれるかしら?】
?美紀へ送信【行きは見知らぬ男と女でも帰りはベットに激しく燃えた証拠を残しておけば…ホテルは親しい仲だと信じてくれる。】
?美紀から返信【だらし無い酔っ払い女でも?】
?美紀へ送信【ここは見知らぬ遠い土地、心に溜まるモヤモヤを酔いに任せ吐き出して見たら?】
?美紀から返信【冷たい雨の中で…暖かい心に触れたから…私、乱れると思う…平気ですか?】
?美紀へ送信【妻と母は不要です。『乱れる女』美紀が欲しい】
?美紀から返信【いいのね?知らないわよ。…優しく、ライオンのように激しく…抱いて!女を枯らしたくない。心を癒して!一夜だけ私を満たして!】…???????????…美紀は元来シャイなのかも知れない。
レストランでアルコールの力を借りて羞恥心を麻痺させて、精一杯しかも携帯メールでならやっとギリギリ話せる「誰にも話さず抑制していた鬱積」をベットで吐き出した
飲んだとはいえ、はた目にはビジネスウーマンらしいシャンとした態度を見せていたがホテルでの最初の「二人だけの密室」、エレベーターのドアが閉まると同時に私に抱き着き唇を重ねて来た。太腿は早く早くと催促するように私の股間を刺激する…強く舌を入れてくる…私を…吸う。早く二人だけになりたかったのだろう。廊下を歩いて部屋のドアの前に着くまでも離れない。
ドアを開けるとなだれ込むようにベットに身を投げ出した。
「ねえ、早く…早く脱がせて…苦しいの…酔ったの…介抱…して」
「介抱?ははは、まるで私は医者のようだね」
「そう、医者よ。医者になって、私を診て。私の全てをチェック…して。心の襞まで…チェックして…」
「ははは、酔ったね?」
「違うの、心が酔うの」