聡美手配のハイヤーが夫婦を今夜のホテルに送ったようだ。……ドンの紹介状を持った患者は四年間で60人は越しているだろう。全て診療代領収書不要の患者だ。俺はドンには手術以降、会ってはない。時々、三流週刊誌などで顔写真を見る程度。しかもその写真も垣根越しであったり、タクシーに乗るところを遠くから隠し撮りしたような写真ばかりだ。その手術で俺を「命の恩人」だと言って、紹介状を添えて患者を送り込んでくれる。前受診療代を受け取ると、後日、残金診療代として三倍の金額が俺の指定した口座(聡美名義)に振り込まれてくる。 例えば今回だと明日500万後日 1500万 計 2000万である。三等分され一口は聡美、一口は俺、残り一口が内部留保にプールされる。一件当たりの治療代が 1000万を下ることは記憶にない。そして今日のような患者も記憶にない。………………
「どう思う?」と問う
「流石の鮫島警部もお困りのようね」と聡美が笑う。俺は子供の頃から大沢在昌のファンで「新宿鮫」を読んで育った。新宿警察の警部、鮫島が新宿歌舞伎町を舞台に悪と闘うハードボイールド作品だ。新宿署の鮫島、つまり「新宿鮫」と呼んで悪たちが恐れる訳だ。鮫島の恋人がシンガーの晶
時には鮫島の弱点として悪に掠われ鮫島を悩ます…時には鮫島の危機一髪を救う…晶は有名な歌手になって行くが、奢らず新宿鮫を恋慕う…………「どうも胃の中にストンと落ちない!」勿論、明日の治療方法について聡美も理解をした上だ。。「勃起不全かどうかは明日チェック入れるわ。」 「あの二人、ツガイじゃない。あの女、姐さん?…男は勃起不全の安心のガード役?てとこかな?いくつだあの女?」と言ってみる俺。「う〜んと、35才鮫島警部が好みの年齢。晶がチョット嫉妬かな」と聡美が睨む。
「私、彼女男に興味ないないんじゃないか って感じたの。…てか、私をみる目が…」と続ける。
「レズ?…じゃ何でこの治療を了承した?レズが男に抱かれるだろうか?」と俺。「だからって、偏見持っちゃダメですよ、レズもホモも社会的には認知されてますから」と聡美。「俺だってハシクレだ。…で、男のインポを治すのか?女に男の良さも知ってもらうのか?」俺
「やって見るっきゃないわね…その前に…準備。事故防止のため鮫島警部の精液全て抽出させて頂きます。明日の銀行営業時間内までに。ご都合は?…私は今夜でも都合調整可能です。」