夜通し降り続いた雨は、翌朝には路面に雨跡だけを残し止んでいた。
かなり太陽が射し込んできていたため、少年は眩しさのため目を覚ますしかなかった。少女はまだ、少年の大きめの服をパジャマ代わりに眠っていた。
ブランケットをかけ直してあげると、少女はどこか嬉しそうな顔をした気が、少年にはした。
起こさぬようそっとベッドから起き上がり、ココアを淹れようと少年は台所に向かった。
少女は物音で目を覚ました。
酷く体が重かった。
しかし気分は優れていた。
妊娠の告知を受けてからと言うもの、自分のお腹の辺りが妙に気になってしまい、癖のように抑えていた。
寝返りを打ち、台所を向くと、少年がいそいそと何かを支度していた。
自分も手伝いたかったが、あまりに体が重かったのでかえって邪魔になると思った。
少女の気配に気づいた少年は、振り返って笑いかけた。
少女も笑い返した。
少年の笑顔に少女はとても癒された。
「なんかダルそうだけど、大丈夫?」
「うん、手伝えなくてごめんなさい。少し力が入らなくて」
「起きられるようになったら飲んでよ」
少年の優しさに、少女はどうやって恩返しするべきか思いつかなかった。
「本当にありがとう。こんなに良くしてくれて。」
「君の事情はよく分かったよ。そうだな、じゃあ今度は僕の事情でも話そうか」