「だから君を助けたのもその人と…笑子と重なったからなんだ」
「ショウコさんていうんだ」
「笑うに子供の子。彼女が笑ってたのも、もしかしたら僕の前で必死に取り繕ってただけだったのかもしれないけど…それでも名前の通り、笑顔が絶えない人だった」
「御坂笑子といいます。本当に、助けてくれてありがとうございます!」
「ミサカさん。あの、病室にあった名字は沢口ってなってましたけど」
「今、父と母が離婚協議中で、今回の事件で話は中断してるみたいですけど。沢口が本当の名字で、多分、離婚したらお母さんに引き取られて御坂に…」
説明している間に、笑子の笑顔は薄れていった。
「あ、すみません!変なこと聞いて」
「良いの、誰かに話したかったから。あ、そうだそうだ!メアドとか交換してくれません?退院したらお礼がしたいんで!」
笑子はまるで全快祝いの取り付けをするような様子で少年に笑いかけていた。
少年は笑子の芯の強さに惹かれていった。
やがて笑子の退院の日がやってきた。
「やっと退屈な病室とお別れ出来る〜!」
「良かったな、身体に問題無くてさ」
「そればっかり。もっと他に言うこと無いの?」
笑子は嬉しそうに少年の手を引いた。
少年は笑子が行きたがっていた遊園地についていった。
少年は観覧車で告白し、笑子に笑われながら承諾された。
「もう、ホント、ベタベタ〜!!観覧車って!もっと気の利いた所無かったの〜!?あはは!」
笑子は笑いながら、少年と繋いだ手を離さなかった。
少年は笑子の笑顔に心が洗われた。
笑子をあんな目に遭わせる人も世の中にいると同時に、こんなに素晴らしい笑顔を魅せてくれる人もいるのだと、少年は心底感じた。