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潤沢な愛‐17

ピューマ  2009-05-23投稿
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「全部…彼女の遺書に記してあったんだ」

衝撃的な内容に少女は涙が止まらなかった。

「最期に遊園地に行ったんだ。今まで様子がおかしかったのに、急に元に戻ったように言うから………てっきり…もう大丈夫だったと!!勘違いして…!」



「あーー!!楽しい!毎日学校じゃ息が詰まるよね!」

「サボって大丈夫だったの?」

「そっちこそ、大丈夫?」

二人は取り留めのない話をしながら、
最期に観覧車に乗った。

「忘れないでね、私だってあなたの味方なんだからさ」

「急になんだよ?」

「言ってくれたから。あなたは絶対、私の味方なんだからって」

「当たり前だろ」

笑子は縋るように少年にキスした。

「忘れないでね、約束だからね!」

「笑子?ホントにどうし…」

言葉の続きはキスで止められた。

二人の手は固く握られていた。



遺書には、どんな奴らが笑子を追い詰めたのか、父親がどこにいるかは書かれていなかった。笑子はプライドを棄てず、少年に危害が及ばない方法を選んだのだった。

「俺が気付いてやれれば、もっと真剣に聞いてやれば」

「そんなことない。絶対にあなたは悪くない」

少女は、重くなっていた筈の体がいつの間にか動き、少年の諸手を包んでいることに気付いた。

「ありがとう…ありがとう」

少年は涙を溢れさせ、声は出さずに、
泣いた。

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