「全部…彼女の遺書に記してあったんだ」
衝撃的な内容に少女は涙が止まらなかった。
「最期に遊園地に行ったんだ。今まで様子がおかしかったのに、急に元に戻ったように言うから………てっきり…もう大丈夫だったと!!勘違いして…!」
「あーー!!楽しい!毎日学校じゃ息が詰まるよね!」
「サボって大丈夫だったの?」
「そっちこそ、大丈夫?」
二人は取り留めのない話をしながら、
最期に観覧車に乗った。
「忘れないでね、私だってあなたの味方なんだからさ」
「急になんだよ?」
「言ってくれたから。あなたは絶対、私の味方なんだからって」
「当たり前だろ」
笑子は縋るように少年にキスした。
「忘れないでね、約束だからね!」
「笑子?ホントにどうし…」
言葉の続きはキスで止められた。
二人の手は固く握られていた。
遺書には、どんな奴らが笑子を追い詰めたのか、父親がどこにいるかは書かれていなかった。笑子はプライドを棄てず、少年に危害が及ばない方法を選んだのだった。
「俺が気付いてやれれば、もっと真剣に聞いてやれば」
「そんなことない。絶対にあなたは悪くない」
少女は、重くなっていた筈の体がいつの間にか動き、少年の諸手を包んでいることに気付いた。
「ありがとう…ありがとう」
少年は涙を溢れさせ、声は出さずに、
泣いた。