ミナミさんは嘘を言っている気がしてならない。
(優しくレイプ?犯罪にならないレイプ?痛くないレイプ?そんなことが出来る筈がない)………
「もしもし、ミナミさん私、レイプなんか怖くて嫌いですから」と言うと
「奥さん、もういい。それ以上、おっしゃらず。こっちも色々、グッズお持ちします」と強気で押してくる。どうしても、【自分から男を誘ったり、浮気することは夫を裏切ることになる。…レイプされたなら仕方ない自分の意思に反して犯されるのだから夫を裏切ることにはならない。】自分で一度頭にインプットした方程式が離れず、会話の迫力を欠いてしまう。
「もしもし、ミナミさんあの怖いですよレイプなんて…それに男性二人なんて」というと
「あっ、男ひとり?がよろしかったですか?」
「いえいえ、そういう意味じゃなく…怖いです。ミナミさんと誰で?と?…怖い。」というと
「タカシ、ご存知ですか?うちの運転手の、ほら、若いあのー、丁寧な、怖くないですタカシ。彼とは休みが同日なんで」ミナミさんは、もどかしそうに電話口で言う。
「ああ、山下さん?」
「そうそう。山下、山下彼、大人しくて。怖くないでしょ」という。
「山下さんは…怖い方じゃないけど…」
「あっそうか。失礼しました。最初にいうべきでした。ごめんなさい。 じゃ、そういうことで…」と電話を切る気配。
「もしもし…」と言いながら私が電話を切った。
僅かな理性と大きな邪心が葛藤する。勝敗は立ち会いで決まっていた。凄く自己嫌悪だけはある。いつからだろうと考えて見る。あの日だ。夫の机の引き出しにエッチなDVDを見つけた日だ。
ミナミさんが私にバナナを挿入した日だ……。
私は玄関に出てDVDを一枚手にしていた。
カセットの機械音…買い物帰りの女の後ろ姿…跡をつける男二人…女が玄関ドアを開ける…男達同時に滑り込む。(短めのワンピース、パンスト)
台所のテーブルの上に寝かされる女(スリコギ、茄子)破られる下着(紐パンなら破られない。ある)剃られる(夫の帰国は半年先大丈夫。剃刀、ボディソープある)………私は画面を見ながら女を中心に必要なグッズを確認していく…のめり込んでしまって行った。
夕方、買い物から帰ると封筒は消えていて、
「明後日 13:00時間指定配達;運転手 南、山下」
とのメモが貼られていた