今日は宅配便が届く日だ台所の食器;料理用ワゴンも新調した。その辺りに散らばっている物を整理して並べて載せてある。正午に二度目のシャワーを浴びた。朝から体がほてる。ワゴンの上の品物を見ると顔が赤くなる。見えないように更紗の布で隠してある。……13;00 チャイムが鳴る「お世話になります、宅配便で〜す」いつもの南さんと山下さん。「はーい。ご苦労様」と私はドアを開ける。山下さんはロール状のシートのような荷物、南さんは大きめのバックを持っている。三人共明るく振る舞う。…三者三様であるが、照れ隠しだ。私とて。「どうぞ」と招き入れてカチャリと施錠をした。今日のこの音は異次元への扉の音だ。二人から柑橘系の微香が漂う。居間のソファに。
「イヤー、朝から二人で健康ランドに行って来ました…二人とも休みで」
「どおりで、良い香がすると思いました。…お茶入れますね」私はビールを三缶、お盆に乗せて来た。どうぞと勧めると、
「うわ、有難うございます。さすがですね、奥さん。もう喉がカラッカラです。緊張しちゃって。なあ山下」と山下さんに向き直っていう。山下さんは大きく頷いて元気よくプルトップを開け、
「頂きます」と男らしい声で言った。「じゃ、三人で乾杯」と私が言うとホッとした顔で「乾杯」。二人は一気に半分程を旨そうに飲んだ。…私はここまで精一杯虚勢を張り詰めている。落ち着いて、冷静を保った振りをしているがブルブルと震えている。脇汗が流れる
「もう一本いかが?…でも飲みすぎたら…あれ…ですかね?」と言った後真っ赤になるのが自分で判った。「はい、戴きます」と二人でいう。私は立ち上がろうとして緊張でふらつく。持って来て進め、「あの、山下さんはお幾つですか?失礼ですが」私がやっとで聞く
「はい34になります」という。「あら、私より若いのね。じゃ今日はタカシさんって呼ばせて頂いていい?」というと。「はい。それで」といいやっと笑ってくれた。
座が和んだ。私はこのままだとホントにレイプされそうな恐怖を感じていた。で、もう一回、勇気を振り絞ろう、「ミナミさ〜ん、今日の目的は三人共判ってますよね?」
「はい、当然。もう」とミナミさん。「じゃもっと、和みましょ?…ね見て…十年前のワンピース。まだ着れました。…でも…今日でもう要らないの…破いて捨てても…いいの」と一回転して見せた。私は目眩がした。二人の笑顔が見えた。