先ほどまで燦々と部屋を照らしていてくれた太陽光も、曇り空に隠れてしまったようだった。未だ天候は完全に回復したとは言えないようだった。
少女はゆっくりと、少年に聞きたいことを口にした。
「笑子さんのお墓ってどこにあるの?」
「情けない話なんだけど分からないんだ。遊園地から帰って翌日には彼女はいなくなってた。彼女の学校に行ったら、亡くなったって聞いて…。お墓のことまでは聞けなかった」
少年が、笑子が亡くなったという報せだけで、それ以上を聞くことが出来なくなったのは容易に想像が出来た。
「だからね、まだもしかしたら、どこかで生きているんじゃないかって…思うんだよ。彼女がまた笑って帰って来てくれるんじゃないかって」
少年の顔にとても優しい表情が映り、
何故か少女は少し嫉妬心を覚えた。
「…朝からこんな話、ごめん」
「ううん、聞けて良かった。私も早くお腹の子と暮らしていけるようにしなきゃ」
「その事ならもう良いじゃないか」
少年は涙で濡れた笑顔を見せて言った。
「僕と暮らそう」
少女は驚き、こくんと一つ頷いて少年に抱き付いた。