私はどちらかと言えば硬派だろう。ラグビーが好きで、大学選手権の常連であるW大のウイングで決勝トライを決める夢を見た。W大に入学出来て、見た夢は実現した。
ところが、四年生の最後の試合のゲームセットの笛を聞いて、…(さて俺はこれから何をするのか、どんな夢を見るのか)
実業団からの誘いを断り高校の体育と社会科の教諭資格で母校勤務のラグビー部の監督になった。
高校OBしかも大学時代 何度かスポーツ紙にも載ったこともあり、熱狂的に歓迎してくれた。
特に女子生徒にはモテた
しかし、私は冷静に硬派を貫いたと思う。
ラグビー部には今年も素質ある優秀な子が入学し県内では注目してくれた
体育、社会科の授業でも新任者の言うことも素直に受け入れてくれた。
社会生活を順風満帆にスタートした。その意味では内心、ラグビーが私にくれた褒美だと素直に感謝した
もともと、進学校であり素行の悪い子は余りいなかった。むしろスポーツに秀でた学力優秀な子が男女共、多かった。
得意なラグビー部の選手選考、ポジションの決定には苦労はしない。
私の長年のラグビー生活の中で得た私なりの哲学があって、今でもそれは間違ってない。スポーツを目指す子供の将来性を知るには、歌を歌わせてみることだ。音感、リズム感、他人とハモること。この三つが欠け大成したスポーツ選手はいない
我が校はラグビーの他、新体操、弓道、剣道、文化部では書道が全国レベルにある。インターハイ、国体の常連校である。
社会科の授業で、優を見たのが最初の出会いである。昨年、インターハイ新体操で二年生で準優勝した、下級生をはじめ校内のアイドルである。
優は授業も真面目で熱い目をして真剣である。
秋。優は今年も優勝は出来なかった。優のインターハイ出場を祝う垂れ幕が校舎から外され、高校現役を終えた頃、優から一冊のノートを渡される
それには、優の家庭生活や新体操のこと、今の心境、日々の雑感等が書かれていた。ウィンタースポーツであるラグビーの県予選を控え多忙を極めていた時期であり、「新体操の決勝は惜しかった、インターハイではよく頑張った、大学でも頑張れ、ラグビーでの経験から心技体が必要で重要なのは、その順番なのだ、第一は心だ」など書いて返した。 ところが…