家に居た男は、なぜか懐かしい顔をしていた。それはまるで昔一緒に居たような…。スナックの常連だろうと考え、気にせずに軽く会釈して僕は風呂に入った。もちろんゆりえも一緒に。
「あのおじさん知ってる？」
僕はゆりえに聞いた。ゆりえは横に首を振った。風呂から上がると母さんとおじさんは、母さんの部屋に居た。二人は 泣いていた。僕は驚きながらも、二人の話が聞こえないようにゆりえを寝かし付けた。それからしばらくしてから…僕は母さんに呼ばれた。母さんと喋るのも久しぶりの事だった。
「カズ。この方誰か分かる？」
…………
「微妙…。」
その後、僕は黙った。誰かしらないが見たことが有るからだ。しばらくそのおじさんを見ていた。おじさんは、母さんと顔を見合わせて頷くと重い口を開いた。
「一樹。もう分からないのも当然だよ。小さい頃しか一緒に居なかったからな…。」
このおじさんはなぜ、僕の名前を知って居るんだろう。僕はもう一度おじさんを見た。
「………あっ!!!」
父さんだ。僕が憎んでいた家族を捨てた父さんと再会しとしまったのだ。
続
[2092] 
[0] 
[0]
