私はバスローブ姿でソファに座り海を眺める。
優はさっきから無言だ。
今も、黙って私の前を横切り暗幕状のカーテンを最後には後ろ手で閉め、暗くなった部屋で私をじっと睨む。…やっと口を開いてくれた。
「お風呂が入りました」
「先に行って。10分後に私も行く」
「はい。暗くしても?」
「優に任せるよ」
暗い。優の様子こそ暗い
怒ってはない筈だが。
ドアを開けて優を探す。
浴槽に浸かり目を閉じてるようだ。優の前に立ち
「優、起きてるか」
目を上げてチラっと股間を、そして私を見た。
髪をキッチリと後ろで束ね端は濡れないように頭のてっぺん辺りまで巻き上げている。
優を挟むように座り、手を取ってそっと私の性器を握らせた。柔らかだ。
遠慮がちに摩る。
半立ちだったそれは、たちまち完全になる。
「元気出るかな、朝からの強行軍で…俺どう?」
「硬く、なって…ます」
「?優、震えてる?」
「当たり前です。震えない方が…おかしい。…私部屋に入ってから震えが…止まらない」
「俺は喋ってごまかしてる。心は震えてる。恐怖じゃなく、強敵との試合前…荒ぶるのと同じ」
「私、私は…わたしも、上手く言えない。…で、その女はどうなったの」
「…?…尼さんのことか?京都の。」頷く優
「ああ、俺が三年生の時止めさせたけど、何てことない、風俗、デリヘルのお姉さん。商売の」
「そう、だったの?」
「で、ボクの状況を詳しく先輩に報告するのが条件な訳だ。ぶざまな奴は四年間、いやOB会のサカナで一生冷やかされ」
「そのお姉さんと同じ、ふしだらだと思ってる…きっと。私のこと」
「そんなこと、思うもんか。…だがな優。フシダラとは思わないが、今日は、ふしだらな女になってバージンを捨てて見たらどうだ。さっさとSEXして感動も快感もなくさっさと帰るか?せめて心のバージンを捨てるなら有意義に捨てろよ。捨てた後、何かを拾う、得る、自分の人生に役立つような。…晶婦はSEXの後お金を得る。忘れられないあのブルーのようなSEX。
「ふしだらな女に…なるのね、有意義。晶婦?心に残るあのブルーね……私のこと笑わない?」
「俺は初体験を有意義に捨てた。……優。お義兄さまを…ふしだらに舐めるか…」優の眼前に腰をそっと突き上げた。
優は私から目を離さず、ゆっくりと口に含んだ。