それから白井さんとは何もない。白井さんも何もなかったように普通に接してくれる。でも私は何故か白井さんを意識してしまう。好きとかそんな気持ちではなかった。あの日の白井さんの温もりを忘れられなかった。
バイトから帰ってきて、先輩と電話も終わりそろそろ寝ようかなって思っていたら電話が鳴った。白井さんからだった。
「あやちゃん寝てた?遅くにごめんね。」
「いえ、大丈夫ですけどどうしたんですか?」
「いや、今ね夜景を見た帰り道で、あやちゃんちの近くにいるんだ。今から出ては来れないよね?」
「…大丈夫!!」一瞬迷ったけど私はすぐに着替えて家を出た。両親とも寝ていたので気付かれないように静かに外に出ると、白井さんの車が止まっていた。
車に乗ると「あやちゃんごめんね。どうしてかな〜すごくあやちゃんに会いたくなったんだ。」私は恥ずかしくてうつむいた。
「あやちゃんが寂しくなったらなんて言いながら俺から会いたくなっちゃったよ。お店で会えるのにね。」8歳も年上の白井さんがとても可愛らしく思えてクスッと笑ってしまった。
「あぁ〜俺をバカにしたなぁ〜」なんて言いながらじゃれあっていた。そして白井さんと目が合い、私は目をそらせず吸い込まれるようにキスをした。この唇の感触がやっぱり心地よくて何度も唇を重ね合わせ、にゅるっと舌が入ってきた。私はもう理性を失っていた。どの位の間キスをしていたのかわからない位長いキスをした。
「あやちゃん…ホテル行こうか…」
「はい…」なんの迷いもなく私は答えた。ホテルへ向かう途中私の肩を抱きよせ何度かキスをした。そしてずっと手を握り合っていた。どうしてこんなに心地がいいんだろう。ずっとこうしていたいと思った。