く…唇に、唇があたっている…とゆ〜状況ってつまり、それって…。
「う…わっ!」
思わず、リイチを突き飛ばしてしまった。
学ランの袖で、唇の柔らかい感触を拭う。
な…俺、キス、したことねえのに!!
リイチは表情一つ変えずに微笑んでいる。
「傷ついちゃうなあ、僕…拭かなくてもいいじゃない」
「て…てめ〜」
どうしてくれようか?
こんな華奢な奴殴るのも気がひけるし、転校早々問題起こしたくね〜(*_*)
いや、いやいやいやいや!
そんなん問題じゃねえ!
問題は…
俺のファーストキスだろ!
「…桜、もしかして初めてだったの?」
な…。
このタイミングでの追い討ち…このやろ〜!!
「てめ〜、いい加減に…え?いや、おいこら」
精一杯すごんで睨み付けている真っ最中、リイチはスタスタ教室を出て行こうとしている。
「何してんの?寮舎案内してほしいんでしょ。それとも何か期待してんのかな」
…。
なんなの?
なんなのよ、こいつの完全唯我独尊状態。
見た目と性格、ギャップありすぎだろ?
リイチは可愛らしいとさえ言える屈託ない笑みで爽やかに言ってのけた。
「行こ、桜!」
「あ〜…え〜…はい」
なんかさっきのデキゴトにこだわるのも、逆に恥ずかしい気がして、俺は仕方なくコイツのあとに従った。
…マジで誰か教えてくんない?
俺…なにしたのよ??