長政は利葉に車で送ってもらっていた。
外の雨は激しさを増していた。
「さっきはごめんなさい。別に体を差し出して許しを請うつもりは無かったの…。ただ…」
「分かってますよ。俺だって、少しくらい罪悪感は感じてます。お兄さんを教師から退けた事。」
「いいえ。あなた達が止めてくれなかったら今頃あの人、もっと非道いことになっていたかもしれないから…。村井くん。優しいのね。」
長政は情に絆されないよう、会話を切った。
利葉をまだ完全に信用したわけではなかったからだ。
「橋那先生、俺には手伝える事は無いですから…。すみません。」
自宅に着き、別れ際長政はことわった。
「ええ。分かりました。坪内さんには自分で必ず伝えます。今日は本当にごめんなさい。…村井くん、私クラスに馴染めるように頑張るから。」
「はい、応援してます。」
二人は笑顔でその場で別れた。
直後、利葉の携帯にメールが届く。
¨そちらを選びましたか¨
利葉の表情は決意に満ちていた。
それからの利葉は目に見えて変わっていった。
以前より笑顔が増え、キツくお高いイメージも和らいではきていた。
ただ相変わらず、授業は静かだった。
―――しかし。
ある日、それは突然おとずれた。