「なっ何ですかっ??」
急に呼び出されて連れて来られた資料室。
冬の6時は真っ暗だ。
なのに先生は電気を消した。
「何・・・?」
目が慣れてくると先生の顔がはっきりと見えてきた。
何か複雑なカンジ。
――先生はあたしの担任。
今年37歳になるかもうなってるのかくらいの妻子持ち英語教師。
背が高くて、運動部の顧問を持っているおかげで結構しっかりしている。
「美帆。」
「は?」
呼ばれた事のない呼び捨てで呼ばれた。
ゆっくりと近付いてくる先生が怖い。
先生はあたしのまん前で止まった。
カチ。
電気がついた。
「え?」
先生がはにかんだように笑う。
「ゴメン・・・。」
「え?」
「ゴメン犯そうとしました。」
悪びれた様子もなくケロリと言ってのける。
「は?は?意味わかんない・・・意味・・・。」
「美帆?聞いて?」
「なっ・・・。」
「お前は今から俺と付き合う事になります。」
「はっ?」
意味不明。
ホントに意味不明。
あたしは先生の事好きだけど・・・
だけど、
「先生ってあたしの事好きじゃないですよね?」
「・・・んー。」
先生の目、あたしはよく見てる。
何処を向いているのか。
何を探しているのか。
先生はあたしの事を好きなんかじゃない事くらい分ってた。
何故なら先生はあたしの親友に片想いだから。
隠してるつもりでも、あたしには分った。
先生にはいつも守りたいヒトがいたんだ。
もちろんあたしじゃなく、
奥さんでもなく、
可愛い自分の子供でもなく。
「身体。」
先生がその単語だけを口にした。
「お前、俺の事好きだろ?」
「えっ??」
何で。
否定できない。
何で。
先生は知ってるの。
「分りやすいんだよ、お前。俺に抱いてほしいだろ?」
「ばっ・・・バカじゃないの?」
「身体だけくれよ。」
意味不明。
でも・・・好き・・・。