時間どおりに26番コインパーキングに滑り込んで来た白い車…左ハンドルの窓を開け女が言った。
「ひろやさん?ですね。どうぞ、後ろのお席に」
白い車に少し安心したがリヤウインドにはスモークシールが貼られ車内は見えない。俺がドアを開けて乗り込むと…コインを投入する間もなく車は走り出した
「今日は、ご苦労様ね。
ご迷惑おかけします。少しの間、我慢下さいね」
女はルームミラーを覗きながら言った。
目元だけしか見えなかったが、大きく涼しい目だった。
料亭とも割烹ともレストランとも判らない建物に車は入って行った。
女はスタスタと廊下を進み奥まった部屋の前で立ち止まりった。
「どうぞ、こちらです」
女はドアを開けて入れと言う。テーブルセットがあり恰幅のいい男が座っていた。
「ひろや君だね?遠い所ご苦労さん。〇〇です」
それが習慣かのように手を差し延べてくる。
俺は義理で握手した。
「早速だが、書類を見せて頂こうか」
男が言ったところにコーヒーが運ばれて来た。
俺は、学生証、成績表、健康診断書、経歴書をテーブルに並べて
「コピーはありませんが…どうぞ、ご覧下さい…こちらは誓約書で二部あります」
俺は、歯を噛みそうな敬語を使った。 女が
「どうぞ、コーヒーを」
「頂きます!」
俺はコーヒーをすすった
「おお、失礼しました!これは妻の亜紀だ。……うん、成績もいい…病気もなし!血液型も問題なし!おお、甲子園で活躍したと…サイクルヒットやったんだ!凄いじゃないか。文武両道だな…」
ひと仕切り、書類に目を通した後、男はかしこまって言った。
「実は、私は病院をやってるんだが、ぶっちゃけて話しをすると…跡取りに恵まれないんだ。早い話し、君の力を借りて…その…子供をね。妻と寝て…妊娠…させて貰いたいと思っているんだが…その後のことは…私も医者だし、血液型も同じでどうにでも取り繕える」
「どうだろう。妻と…そのセックスをして貰えないだろうか」
「はい、誓約書にサイン頂ければ結構です。前金で半額、妊娠をチェックしながら、基本的には五回までセックス。…結果としてご期待に添えない場合も有り得ます。精一杯、奥様の中に射精しますが……」