「何か?」
「車に乗してもらおうかなぁと思って」
「ごめんなさい。まだ寄るところがあるから」
断る為につけた理由丸出しだった
「そうなんですか。
僕、見ちゃったんだよなぁ。」
「えっ、何を?」
「奥さんの万引き」
「えっ!万引きって 何?」 「何って、髪止めとか野菜とか。そのカバンに入ってるのだよ」
「な・何言ってんの」
祐樹がカバンをひっくり返した。中から髪止めや小物、野菜が出てきた。
「これくらい払えるお金持ってるのに、どうして良識ある大人が万引きなんてしちゃうんだろうなぁ」
祐樹は顔を覗き込みながら言った。
「そ・それは・・・」
「車、乗っていい」
祐樹はそう言うと助手席に乗った。
百合子も慌てて運転席に座った。
「どこまで送っていけばいいの?」
「その前に、悪いことをしたんだから罰を与えないと」
「何罰って」
祐樹の薄ら笑った顔に不安いっぱいの百合子だった。祐樹はもったいぶったように百合子を頭から足の先までジロジロ見た。
「まずはブラジャー見せて」「えっ、なんで。そんなの嫌よ。
「ならいいよ。万引きの事言っちゃうから。近所や子供の学校や旦那さんの会社にも」
百合子の不安は的中した。