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魔女【33】

CORO  2009-08-08投稿
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パパに抱きしめられて、

ようやく気持ちの落ち着いたあたしは、

ホテルでの出来事に突き当たる。


赤ちゃん……。


パパとあたしの赤ちゃんが、

お腹の中にいる!

パパに知らせなきゃ!


「パパ…、あのね。

あたしのお腹には…」


するとパパ、

すごく苦しそうな顔で、あたしの唇を、指で制した。


そして、じっとあたしを見つめて、

首を横に振った。


えっ?


あたしは首を傾げた。



「赤ん坊は、…ダメだったよ」


「そ、そんな……。
いっ、いやあああああっ!」
あたしは、髪を掻きむしり、
狂ったように叫んだ。


そんなことは、最初からわかってたこと。

覚悟してたこと。


でも、覚悟してるからって、ショックが半減するわけじゃない。

いちばん大好きな人の赤ちゃんを喪った悲しみは、
経験した人でなきゃわからない。


パパがあたしを抱きすくめた。


「ちえ、落ち着いて。

あの子は、
そういう運命だったんだ…。

千絵…。

……すまない」


パパの言葉で、


あたしの気持ちは


ほんの少し、楽になった。


パパも悲しんでくれてることは、

あたしには救いだった。。



だけど…。

あたし、また殺してしまった……。

この事実は、

変わらない……。

いったいあたしの周りで、

何人の人が死んでいくんだろう…。


あたしはその夜、一晩中泣いていた。



二日後。

退院したあたしは、

パパといっしょに故郷に帰ることになった。


「ホントにいいの?パパ」


あたしが訊ねると、
パパはあたしをむぎゅっと抱いて、言ってくれたのだ。


「そばにいてほしいんだ。

あんなひどいことを言ったのに、
勝手だとはわかってる。

でも、千絵と暮らしたいんだ。

パパは……、
千絵がいないとダメなんだ」


あたしは、腕の中で、


小さく頷いた。

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