私、崎本はるなは高校2年生。県内では割と有名な進学校に通っている。
そして学校が終わったあとも週3回予備校に通っている。
私の今の成績では志望する大学に受かるにはまだ不安があるのだ。今日も放課後予備校でみっちり勉強をした。この日の教科は数学。
私が最も苦手とする分野だ。
授業が終わり、受講生たちがゾロゾロと教室から出て行く中、数学の武田先生に
「崎本!ちょっといいか。」
と呼び出された。
武田先生は三十代半ばくらいで体系はガッチリしていてスタイルがいい。背も高くて顔もいい方だから他の受講生たちに人気があった。私が教卓方へ歩いて行くと
「崎本、最近いい感じに伸びて来てるな。これなら学校の方の学期末テストも良い結果が出るだろ。」
武田先生は自分のことのように嬉しそうな顔をして私になにか紙切れを手渡した。
「…なんですかコレ。」「頑張ったご褒美だ。中身はあとで見ろよ。じゃあな!」
と言い、足早に教室を去って行った。
四つ折りにされたその紙切れの中を見てみるとそこには携帯番号とアドレスが走り書きはれていた。
「これがご褒美?どういう意味よ。」
私はその紙をポケットに突っ込み、教室を後にした。