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たま  2009-08-31投稿
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12月。

冷たい風が吹き抜ける、
気温も例年より低いらしい。


スーツの上にコートを羽織、首にはマフラーを巻いているのにも関わらず、寒さは容赦なく体に入り込む。




「…さむっ。」


一人、誰の耳に入る事も無く呟いた。




はずだった。




「よかったら、
これ…どうぞ。」



スッと差し出された
小さなカイロ。



「…ありがとう。」


街角でティッシュを配っていた青年の耳に入ってしまっていた。



「それも下さい。」


人差し指をポケットティッシュに向ける。


「はい!ありがとうございます。」


柔らかな笑みを含みながら、冷たくなった手からポケットティッシュを受け取り



「冷たい…。」



ほぼ無意識に青年の手を包み込んだ。


「ぇ、あ…えっと…。」



青年の手から手を離し、
自分のマフラーを首から外す。



そして、未だ戸惑っている青年の首にソッと巻く。



「えっ!?そんな、駄目です…!」


「カイロのお礼。
じゃあ、またね。」


そう言い残し
足早にその場を去った。

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