年寄りのオシゲ婆さんが若者のように、指でVサインをしたことが可笑しく、可愛くもあり私は大きな声で笑ってしまった
「美菜さん!そげん照れんでええ!決めたぞ!」
オシゲ婆さんが手招きした。小さな声で、
「太ぅて、硬ぅて、長持ちして、優しいスケベじゃったな?好みン男は」
オシゲ婆さんは私の要望項目を指を折りながら確認する。オシゲ婆さんはまだしっかりしている!正確に記憶していた。
私はまた顔が赤らんだ。
「おった、おった!ピッタリのが!喜べ美菜さん名は言わんがな。………そりゃ、目隠しされたり、軽うに縛られたりするかも知らんが。それが又いいらしいんよ!なあに
お前さんの部屋じゃ、妙な事はすりゃあせん!…可愛がっち貰え!悦べ!優しい男よ、うんうん」
私はドキドキした。
「縛られる?んですか?オシゲさん…私、痛いのは困る!汚いことも!」
私がそう言うと、
「いやいや、美菜さんの了解なしに、そげん事はせん!目隠しも縛るんも遊びじゃ、あ・そ・び!…美菜さん、病み付きなるなよ、ぅふふふ」
オシゲ婆さんは悪戯っ子のように笑った。
少し安心して尋ねた、
「オシゲさん!その方、お幾つ?年だけ教えて?私より年上?島の人?」
「お前さん、幾つじゃったかの?28じゃろ?…なら、二つ上じゃ30 、30!島んモンに決まっちょる。美菜さんもよう知っちょる男じゃ」
シゲ婆さんは小さな声で言った。…私が知っている男?……なら信じて見ようという気になる。
暦の印を見ながら私は悟との夜を思い起こしていた。…私は木曜日の夜、少し頑張った!港のスーパーで小アジを多めに買った。食事の後、丁寧に三枚に卸し酢に漬けた。……時計の針は午前1時
朝、玄関先に掛けられた籐ミイを横目で見て出勤した。心臓がドキとした
…………金曜日の帰りは海上ハイヤーに乗った。
ご飯を多めに炊いて、アジ寿司を握った!今晩の夕食だ。…食卓に吸い物と一緒に寿司を並べると
「美菜さん、ビールを貰おうか」と義父が言った
「はいはい!」と言って冷蔵庫に向かった時、私の目に涙の粒が膨らんだ
「ごっそうさん!旨くて又飲み過ぎた!寝よう寝よう」と言うと二人は寝室に姿を消した…。
私は大皿に並べてラップを掛けた寿司、ポット、お茶、コーヒーを部屋に運んだ。…ゆっくりと風呂に浸かりドライヤーで髪を乾かしながら時計を見る。…デジタル時計は
21:00を表示していた