「単身赴任、残酷?ですか…そのように考えたことはなかったけど。…そうかも知れませんね。…家はもう二年です。。」「さっき、洋服売場でお見掛けしましたよ奥さん、ご主人の洋服ですか?選ばれていましたね?愛してるんだ!羨ましい」私が言うと、
「いえいえ、あれは…それより…どちらから?お見えなんですか?」
と話しを変えた。
「東京からです。もう長いんですよ。三年。」
「大阪と…東京か。遠いね!…世の中、多いんですかね。私たち見たいな夫婦って。…嫌になる…ランチでもしながら愚痴出し合いませんか?ご馳走しますよ」私が言うと
「そうですね!でも、条件は同じだから。食事代は割り勘にして下さい」
と言った。
私は助手席に女を乗せて中心街から少し外れた海鮮レストランに入った。
障子で仕切られた小上がりに席を取った。昼定食をオーダーして、「ビニールでもどうぞ!私は運転で飲めませんが…お送りしますよ。ご希望の場所まで」私が言うと、昼間という安心感か、割り勘という気安さからか、
「生ビールを頂いて宜しいですか?」あっさりと言った。…ジョッキと烏龍茶、枝豆が運ばれたた
「乾杯しましょうか」
私が言うと女はジョッキに手を添えて掲げた。
枝豆を口にくわえて私が
「今だからいいますが、さっき奥さんが、茄子を揉んだ手つき、卑猥でした!ゾクゾクとして…」
女は吹き出して笑った。
「もう!何を言うのかと思えば!男性って、真面目に言ってるのに、もう」とハンカチを口に当てた
「茄子って、揉んだら、萎びて来るんだ!…逆ですね」私が言うと、
「やはり、こだわりますね!……そうです、そうです!萎びるんです。茄子もキュウリも!…それに、ゴウヤなんておっしゃるから顔が赤くなる」
開き直ったように言った
私は暫く、沈黙を置いた
女は顔の汗を拭いた。
定食御前が運ばれて来た
「わあ、美味しそう!早速、頂きます!あっ、そうだ。お名前をお聞きして、宜しいかしら?私の名ま…」そこまで女が言った時私は慌てて遮った
「奥さん!待って!旦那さんのお名前は?」
私が聞くと、不審そうに
「マサハル…です、けど…どうして?主人の名前を?」と首をかしげた。
「奥さん、今日、見も知らない二人が出会った!
もちろん、私にも名前はあります!私の名前、マサハルじゃいけませんか…互いに夫婦で食事会」「互いに?じゃ私が奥さんの名前?ってこと?