私が懺悔をするのはここからなのです!
通常の理性があれば、警察に届けるなり、近づかないようにするなりできたのに…。
あの男の澄んだ目が私を、そうさせなかったのです!私は翌日も何時ものようにナオを連れて公園に行き、何時もの木陰で文庫本を読んだのです。
いや、読んだというより「見た」という方が正しいかも知れません。
本の内容など全く覚えていません!
いつあの男が現れるのかどちらの方向から来るのか、どんな言葉をかけて来るのか……。
私はジーンズにTシャツ、チューリップハットを被り、目線がバレないように辺りに目を配ったのです!
結局、その日は男は姿を見せませんでした。
昨日のことを気にして引越したのかと思いそれとなく段ボールハウスを覗いて見ましたが、昨日と変わらない、洗濯物が干してありました。
よく見ると、4、5m先にも段ボールの家が一つ見えていました。
その晩は、更に空想が膨らみ、昨日よりも男のペニスが大きく思えて来るのです。セックスレスのストレスの怖さを、後になって思い知りました。
こうなると翌日も公園に出掛けずにはおれませんでした。
少し長めのスカートにタンクトップの上からGジャンを着たと思います。
「奥さん、先日はごめんなさい!ストレス溜まって、つまらないことして…怒ったでしょ?!」
男は申し訳なさそうに近寄って来ました。
ナオも嬉しそうに尾っぽを振ります。
「フフフッ…ストレスですか?誰にでも、あるし怒ってなんか、ないわ!それより、お食事は?」
私は心にもないことを聞いていました。
「ええ、食事はなんとか…適当に。…怒ってないですか?本当に?」
小脇に分厚い本を挟んでいる。
「私、そんなに子供に見える?…怒ってなんかないわ!気持ち判るから。あなた、お幾つ、お年?」私の弟と同じ年だったのです。
「怒って…ないなら、見て下さい!…今、試験勉強してます…でも、手に着かなくて」
「何の試験?何のお勉強してるの?」
「司法試験です!弁護士か検事か裁判官。試験、月末なのに!凄いストレスで…溜まっちゃって…昨日も今日も…図書館通い…でも頭に入らない」
弟の顔がチラつく、私は思わず立ち上がっていた
「見る?見るって?」