長政は無意識に屋上に出ていた。
「結局お前の自己満足のためだったのか!?」
吉城の声だった。
誰かに話しかけていた。
いや怒鳴っていた。
「吉城!?」
長政の声に吉城はすぐに手を挙げ、制した。
「来るな!!待て!!!」
長政が屋上に上がると二人の人間のみがいた。
吉城と
「ヒカリ…?」
「長政、今日もあなたの肉じゃが、食べに行って良い?」
いつもの笑顔に思わず頷きかけたが、
先程の吉城の言葉が頭をよぎった。
「なぁ、ヒカリの自己満足って?」
「俺は…確かに共犯だ…だが、志乃川まで巻き込む必要は無かった!」
「な…何の話だよ?」
「ホントよ吉城、長政にも分かるように説明してあげて。橋那先生と志乃川さんを強姦させたコト。」
ヒカリの言葉の後、耳が聞こえ無くなったように何もかもが静かになった。
「ヒカリ、何言ってんだ?」
「橋那先生には、彼女のお兄様が私にした事を少し色を付けて体験してもらったの。」
ヒカリはひらひら手振りを交え説明を始めた。
「志乃川さんが巻き込まれてしまった理由よね。吉城にも分かるように言うと、彼女は長政にしつこく言い寄ってたの。一年生の時だったかしら。」
ヒカリは綺麗に笑った。
数学の証明を解く時、英訳を読む時、
あの得意気な口調だった。