「志乃川さん¨たち¨は毎日のように私を女子トイレに呼んでは蹴ったり殴ったり裸にしたり。顔を傷つけるとバレるからってカラダばかり。それに加えてあの橋那先生のお兄様に強姦されたのよ。あの夜私は死ぬつもりだった。あなたが現れた。長政。最低の夜が最高の夜に変わった。聞いて、私、あの日ね、あなたの子を宿したのよ。」
長政はほとんど息が止まっていた。
吉城もこの事実に同様の反応を見せていた。
「橋那先生のお兄様は私を犯す前になんて言ったと思う?俺の子を孕んで卒業させてやる、それまではアナルで我慢してやる。…長政、気づかなかった?あの夜、私が本当に交わったのは長政だけ。紛れもなく長政との赤ちゃんだった。」
長政は話がどこに向かうか察しがついていた。
「そんな事お構い無しに志乃川さんたちはそれからも私をいじめ続けた。もう…分かった?志乃川さんたちに蹴られて、殴られたせいで、赤ちゃんは死んだのよ。しばらくして約束通り先生は私をいじめから守ってくれるようになったの。でももう遅かったの、何もかも。」
ヒカリは屋上の手すりを背にした。
「長政、長政、長政。私、あなた以外何もいらないよ。あなたが欲しい。でも、あなたは私が嫌いなんでしょう。」
「違う。」
長政は思うように自分の声が出なかった。しかし、ヒカリの瞳を見つめ直し、言い直した。
「逆だった。俺は、あの夜ヒカリにしてしまったコトは間違ってたって思っていたんだ。成り行きであんなコト…。」
「じゃあまたして?今ここで。お願い、長政。」
「吉城は!!!……吉城はお前に惚れてんだぞ!?」
吉城は全ての事実を受け止められず、凍り付いていた。