突き詰めていけば、私は
「犯罪」を犯したのだ。
犯罪を身体で購ったのだ
悔しさに涙が流れる…
犯罪を犯し、その償いに強引であっても身体を奪われたことは仕方ないと思う。自分の身体だ、そのことに悔しさはない!
悔しいのは、その時、男の背中にしがみつき爪を立て、一度ならず悦びに身体が反応したことが悔しいのだ!
ダラダラと前置きを述べたが、何のことはない私は簡潔に言えば、セックスに餓えていたのだ。
その時の事は鮮明に、そして克明に覚えている。
八王子の街を突っ切り車を走らせると某トラックメーカーの教育施設の先辺りから緑が増え、その先を更に進むと、私が契約している農家がある。
大きな農家だ。
私はその家の御隠居のじいちゃんばあちゃんと契約しているのだが。
季節感のある活け花素材を確保してくれる老夫婦である。
夏から秋、イガグリや蔦にぶら下がるアケビ、赤い実をつけた蔦カズラ…冬には赤い南天、春先には活け花素材の他にタケノコ、たらの芽、わらび、ゼンマイ、椎茸などの食材までくれた。
最初はスーツを着込み、名刺を持参し、正式な挨拶をしたが、訪問する度、体育会系の体を持て余し、カジュアルな服装で山に一緒に入ったりした
「そんな服装じゃ、蜂にさされるよ」と教えられ
農家の主婦の服装になり背中には丈夫な竹籠の背負いコというものを背負った。手にはカマを持ったスタイルだ。
遠くからでも、私と判り手を振ってくれるようになった
「その恰好じゃ誰もテレビに出てる先生とは思わんじゃろ」
「テレビ見ましたよ先生、あのアケビが良かった。わしは、実が三つがいいと思ったが、先生、二つにしてましたね、さすがや…」
など、縁先でお茶を飲みながら話しに花を咲かせることもあった。
考えて見ると、間違いの元はこの辺りから起きたように思う。
「わし等素人が山で探すより先生、自分で探したらどうね?…あの背の高い杉の木が見えるじゃろ?あれから、こっちの高い鉄塔が見えるじゃろ?
あれまでが家の山じゃ。
いつでも遠慮はいらん、先生、勝手に入って気に入ったのがあれば、何でも持って行きない!誰も怒りゃせん!」
その辺りから間違った