クリスマス当日。
僕らはお互い何となく緊張していた。
僕の寮部屋は他に誰もいない。
実家に帰ってるから。
「え〜と」
ほらな〜。
先輩が妙に「知識」をリイチ先輩から仕入れたりするからぎこちなくなるんじゃん…(>_<)
「あ、あのさ」
モンブランのケーキを目の前にして、先輩が切り出す。
だあ〜、僕なんて今まで誰かと付き合ったこともないんだよ?
こ、こういう雰囲気、どうしたらいいの?
「な、なに?」
先輩は挙動不審だ。
いつもあんなに自信があるのに。
後輩からは憧れの的なのに。
「食べる?ケーキ…」
「え、あ、うん、先輩切る?」
「つうかクリスマスってケーキ食っておしまいなんかな?」
「まあ…そうじゃないですか?他にすることなんて別に…」
二人の空気が止まる。
ば、馬鹿〜(汗)
先輩がそっと、近づく。
や、ヤバい、ドキドキする、どうしよう、どうしよう、どうしよう…
「鈴…」
蝋燭の明かりだけだから
真っ赤になってるの、わからないよね?
指がのびて眼鏡を外す。
先輩の制服が密着する。
「メリークリスマス!!」
パァンっと音がして、パッと明かりがついた。
眩しさに目をすがめると…愉しそうに笑ってるリイチ先輩と、滅茶苦茶気まずそうな木崎先輩がなだれ込んできた。
クラッカーの派手な紙くずにまみれて、先輩が呻く。
「リ〜イ〜チ〜!!!
てめ〜って奴は…」
「リクエストにお答えして、邪魔しにきたよ。
真っ最中じゃなくて良かったねえ」
「…ごめん、俺は止めたんだ」
僕をみて申し訳なさそうな木崎先輩に、僕は爆笑してしまった。
「あ♪♪♪
モンブランだ〜クリスマスケーキなのに渋い♪」
リイチ先輩に、リョウが苦々しく呟く。
「お前に喰わせるケーキは…あっ、てめ、食うなよ、あ〜っ!!!」
…なんだか、ほっとしたような残念なような。
でも、こんなクリスマスも悪くないよ。
ね、先輩!
〜長い間お付き合いくださいましてありがとうございました。個人的にリョウが好きだったので彼を幸せにしたくて書きました。読んで下さった方々、ありがとうございました〜 ねこより(^^)