「見るに堪えない、といいますか、この場に居れない場合は一階、喫茶に降りていいんですね?」
隣の仮面の男から質問がありました。
「そうです。皆さん大概そうされます。遅くとも
11時には終了します。席を立つ場合、奥様に知らせるのがエチケットでしょう。他には質問は?」
蝶ネクタイは見渡しましたが他には質問はありませんでした。
…それでは…と蝶ネクタイは小さく頭を下げて隣の部屋に消えました。
私が引いたのは四番クジでした。
それとなく女性を窺うとみんなスレンダーな体つきで、上が42〜3才、下が30才そこそこに見えました。ネグリジェ、インナー、ガウン…着ている物はまちまちでした。
隣の部屋にから話し声が聞こえ、拍手も聞こえます。そしてドアが開かれ「それでは、一番クジの人妻さんです。どうぞ」蝶ネクタイのひときわ高い声が響きます。
女性が部屋に入って行くと「オオウ〜・・」とどよめきの声が上がります
…20!…30!…60!…120!150!単位は判りませんがドアから数字が聞こえます…どよめき、拍手…
私は震えが来ます。主人にバレないように体を揺らしたりしながら平静を装いました。
どよめき・・数字…数字…最後に拍手……
ドッキンドッキンします
いよいよ、私の番です。
「四番・・・」
呼ばれます!
主人が私の手を取り、部屋に入ります。
「オオウ〜〜ッ」
浴衣姿の男達が床に体育座りをしていました。
その辺りは薄暗く、私が立っている所だけ明るくなっていました。
広い部屋がソファ、テーブルなどが片付けられ、更に広々としています。
ベットの上では、三組のカップルがオークションを見守っています。
男の手は女性の胸に触れているのが判ります。
主人を含め、四人の仮面を付けた男は、一番後ろの壁に背をつけて立って並んでいます。
「それでは奥様、帯を解いて、体をお客さまに見せて下さい」
私は帯を解き、前を拡げました。
「さあ、どうぞ!」
蝶ネクタイの声と共に、数字が飛び交います。
…30 60 80 100 130 150 170!…170ないか、185 200!200ないか、ないか決定!200…うお〜〜〜
拍手、拍手・私は単位は別にして200でした。