四年生の東都大学野球の秋のリーグ戦で、馬鹿当たりしたことがあって、新聞にも載って騒がれた
…義姉から食事を奢ると言う電話があり新橋に呼び出された。
大きなオモチャ屋のビルの横を入った炉端焼き屋だった。
義姉は友人と二人だった。ビールを飲み、盛り上がった。
帰り際だった。
私がトイレに立ち、終わって洗面所で身繕いしていると、義姉が居た。
いきなり、首にぶら下がるようにして私にキスをして来た。
長いキスの後、
「あなた(も)、好き!」と言って女性トイレに入って行った。
(も)と言ったかどうかは聞き取れなかった。
トイレから戻った義姉は何事もなかった顔で友人と談笑しながら会計を済ませた。
友人と別れて、二人で有楽町まで歩いた。
義姉は腕を組んで来た。
黙って歩いた。
義姉をタクシーに乗せた
ドアが閉まって…手を振った。
そして、兄たちは結婚した。式では義姉は輝いて見えた!綺麗だった。
一度のキスだったが、私には強烈な感覚として残っている。
兄が出張中に、家に泊まる事など出来ない!
私の中の何処かで、誰かが言う。
兄に宿泊を断った。
デスクで私の胸の携帯が震えた!
「もしもし裕也くん?」
「!義姉さん!」
私の名前は裕也だ。
「ユーさん」「ユー君」「ユー!」と携帯で呼ばれるのが 100%である。
「裕也君」は義姉だけだ
「主人に聞きました!何で来ないの?来てくれないの?来週!」
義姉は不満そうに言う。
「ああ。兄貴も出張だと言うし…迷惑かと思ってまた今度、ゆっくり…」
歯切れ悪く私が言い終わらない内に
「えーとネ、ホークス西武戦。福岡ヤフードーム。ナイター。チケット取れました。お待ちしてます」
「えーッ、義姉さん!ホントに?」
「大学で一緒だった 〇〇君!福岡じゃ人気出てる!ホークスの有望株よ!行きましょ!裕也君、思い出す!ね?待ってる!」
義姉は私にものを言わせず電話が切れた。