二年半前、歩行中の主人を轢いて死なせた人のお参りがなかったこと。
義父母が料理をケチったこと。義弟が仕事を理由に参列してくれなかったこと。
タクシーの配車のまずさ
…ビールの力も借りて、全て話すのに小一時間掛かったと思います。
スッキリしました!
「私、こんなこと不満を持っていました!お話出来てスッキリしました」
私が言うと、範良様は逐一、解答考えを丁寧に話してくれたのでした。
「全てじゃないですね、奥様!まだある筈です!心の奥底に潜む煩悩です人間には 108の欲、煩悩があると言われています
…食欲、物欲、妬欲、色欲、性欲……108です! ご主人を亡くした奥様に色欲、性欲がある筈です
そのストレス、悶々とした、燻りが根幹です!それが満たされれば、話された全ては、何の悩みではありません!笑って許せる事柄ばかりです!」
「ゆとりを持って、笑顔で日々の日暮らしを楽しむ為に、それらを取り除いて見ませんか?仏の前に晒し出して見ませんか…端的に言うと、体の寂しさ、ストレス、性的なご不満を、です!」
「範良さま!そんな!…それは…あっても…言えません!」
突然の範良さまの言葉に驚いてしまいました。
「私たち二人は、今、仏の化身です。誰に話す事もありません!秘密は護られます!…本堂の御仏の前です…例えば…」
と言って言葉を切ると、椅子の後ろに回り、喪服の上から私の両方の乳房を押さえたのです!
「あっ、何を!範良様!…やめ…て…下さ…」
二年半、正確に言えば三年近く、そこに受けたことのない感触でした。
「一度も…ありませんかこのように、されたいと思った事は…恥ではありません!正直に!それが人間なのです」
と握った手を動かすのです。私の体を稲妻のように何かが走ります。
「あ、あります!ありますが、今日は!ここは…お寺!お寺です!罰が当たります!…こんな!こんなこと…」
私は範良様の手を掴んで払おうとしましたが、力の弱いものでした……。
「御仏が認めています!罰は当たりません!」
私の手はダラリと垂れていたのでした。
「認めて…いる?…罰は…当たり、ません…か」
私はか細い声でした。